badazim’s blog

素人がプログラミングを勉強しながら覚え書きを書きます

ダーツ戦略論②:クリケットで狙うべき位置とは

ダーツ戦略論②:クリケットで狙うべき位置とは

1.はじめに

クリケットゲームにおいて、あるナンバーを狙うときに効果は大きいがターゲット面積が狭いトリプル部分を狙うべきか、効果は小さいがターゲット面積が広いシングル部分を狙うべきか、という議論がある。

 

当然、一定以上の腕前のプレイヤーは原則としてトリプルの中心を狙うのが最も優れた戦略になると考えられる。下記はある程度高レベルのプレイヤーが20のトリプル・シングルそれぞれを狙って100本スローした結果をシミュレーションしたものである。(赤いマーカーが狙っている位置、青いマーカーがスローした結果を示す)

20のトリプルを狙った場合においても、20以外のターゲットに外れることはほとんどないことが分かる。

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プレイヤーが上手な場合のシミュレーション

一方、そこまで上手ではないプレイヤーの場合、面積の狭いトリプルを狙うと狙ったターゲットに入らない可能性が高くなるため、面積の広いシングルターゲットを狙った方が期待値が高くなる可能性があると考えられる。

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プレイヤーの腕前がそこまで高くない場合のシミュレーション

今回は、このような観点からプレイヤーの腕前や状況毎にクリケットナンバーのどの部分を狙うのが最も優れた戦略となるのかを分析していきたい。 

 

なお、分析の前提事項やモデルについては、以下の記事を参照

badazim.hatenablog.com

2.もっとも高いスタッツを得るために狙うべき位置は

まず腕前の高いプレイヤーより順にシミュレーション結果を示す。なお各グラフでは、左側のダーツボード上の赤線の位置を狙った際の平均的なスタッツ(3投した際のポイント数)のシミュレーション結果を横棒グラフで表現している。

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左:Rating16(σ=13.8)  右:Rating13(σ=17.6)

次に中程度の場合

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左:Rating10(σ=21.4) 右:Rating8(σ=24.8)

最後に比較的腕前が低い場合

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左:Rating6(σ=29.8) 右:Rating4(σ=39.6)

わかったこと

・BBフライト(Rating8)程度のプレイヤーはトリプルリング内を狙うというより、トリプルリング寄りのシングルを狙った方が期待値が高くなる。狙い方を変えるだけでスタッツは0.1程度上昇することが見込める。

・Aフライト(Rating10)程度のプレイヤーであっても、トリプルリングの中心というより、トリプルリング内の極めてシングルよりの箇所を狙った方が期待値が高い。この狙い方でスタッツに0.2程度の違いがでてくる。

・AAフライトレベル以上のプレイヤーは感覚的にはトリプルリングの中心を狙う意識でほとんど問題ないように思える。

・Bフライトレベル以下のプレイヤーは逆に明確にトリプルではなくシングルを狙った方が期待値は高くなる

 

3.カットに成功する確率を最大化するために狙うべき位置は

大きく2戦略で比較する。1スローでカットを狙う戦略と地道にシングルを積み重ねていく戦略それぞれが1ラウンド内でカットができる確率はどちらが高いかをシミュレーションによって比較する。

※筆者の経験上、当時のダーツ界では、比較的低いレベルのプレイヤーは戦略②を採用することが推奨されていたように感じる。

戦略①:1スローでカットを狙う戦略

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戦略②:地道にシングルを積み重ねていく戦略 ※戦略①との違いを赤字

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 各腕前(SA,AA,A,BB,B,CCフライト)のプレイヤーが戦略①(積極戦略)と戦略②(地道戦略)それぞれでカットに成功する確率は以下の通りとなった。

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左:戦略①(積極戦略) 右:戦略②(地道戦略)

戦略の異なりによりカットに要する本数は両戦略で異なるものの、1ラウンド内であるターゲットのカットに成功する確率は両戦略間でほとんど変わらないという結果を得られた。結果的にカットに要する本数が少ない戦略①(積極戦略)の方がより有効な戦略といえると考えられる。